EPS(1株あたり利益)とは?計算方法と自社株買いで増える仕組みをやさしく解説
こんにちは、はるかです。
PERについてまとめた記事で、PERは「株価がEPSの何倍か」を表す指標だと整理しました。PERを正しく読むには、その分母になっているEPSのことも知っておく必要があります。
でも、EPSについてもわからないことがありました。
- EPSの「1株あたりの利益」は、株主が実際に受け取れるお金なのか?
- EPSはどんなときに増えたり減ったりするのか?
そこで今回は、「EPSが何を表していて、株を買うときにどう見ればいいのか」を整理してみました。
この記事でわかること
- EPSの定義と計算方法
- 純利益と配当・内部留保の関係
- EPSが上がる2つのパターン
- 自社株買いでEPSが上がる仕組みと、消却との違い
- 株を買うときのEPSの見方
この記事を書いている人
結婚を機に節約・資産運用をはじめて、3年間で+300万円を貯めることができました!
これまで資産運用や節約について勉強してきましたが、国の税金って複雑すぎる!と感じました
立派な肩書はないですが、主婦目線でわかりやすく資産運用や節約についてお話ししていきたいと思います。
EPSとは:1株あたり、会社がいくら稼いだかを表す指標

EPSは Earnings Per Share の略で、日本語では「1株あたり利益」といいます。
会社が1年間で稼いだ純利益を、株の数で割って出します。
EPS = 純利益 ÷ 株式数
例:純利益100億円 ÷ 1億株 = EPS 100円
会社全体の利益の額だけでは、大きな会社と小さな会社を比べにくいですよね。
EPSなら「1株がどれだけ稼いでいるか」を同じものさしで比べられます。
1株持っていると、会社の利益のうち100円分が自分の取り分になる、というイメージです。
ここからは、この定義を補足する形で、次の4つを整理していきます。
- ① 純利益は全部株主に配られるわけではない
- ② EPSが上がるパターンは2つある
- ③ 自社株買いでEPSが上がる仕組み
- ④ 株を買うときはEPSの「中身」を見る
① 純利益は全部株主に配られるわけではない

100円が自分の取り分なら、利益は全部株主に配られるの?
会社を大きくしたり、社員の給料にしたりするお金はどうなるの?

「取り分」といっても、100円が全部お財布に入るわけじゃないんだよ。

給料は純利益の前に差し引かれている
まず、社員の給料は、純利益を計算する前にすでに差し引かれています。
会社の利益は、ざっくり次の順番で計算されます。

つまり純利益は、給料も税金も払い終わったあとに残ったお金です。
純利益の使い道は「配当」と「内部留保」
純利益の使い道は、大きく2つに分かれます。
- 配当:株主に現金で配る
- 内部留保:会社に残して、工場や新しい事業への投資、借金の返済などに使う
純利益のうち、どれだけを配当に回したかの割合を「配当性向」といいます。
配当性向 = 1株あたり配当 ÷ EPS
例:EPSが100円、1株あたり配当が30円なら、配当性向は 30%。残りの70円は会社に残ります。
会社に残ったお金も「株主のもの」
では、配当で受け取れない70円は、株主と関係ないのでしょうか。
そうではありません。
会社に残ったお金は、会社の財産(純資産)として積み上がります。
会社は株主のものなので、配当されなかった分も、会社の中で株主のために働いていると考えられます。
そのお金で新しい事業に投資して利益が伸びれば、将来のEPSや配当が増え、株価が上がるかもしれません。
EPSを「取り分」と表現したのは、「1株あたり、これだけの利益に対する権利がある」という意味なんですね。
現金でもらうか(配当)、会社の成長に使ってもらうか(内部留保)の違いはあっても、どちらも株主の取り分です。
配当を重視して銘柄を選ぶ方法は、高配当株で安定した収入を得る方法でもまとめています。
高配当株で収入を得る方法については、ぜひご覧ください。

② EPSが上がるパターンは2つある

EPSって、利益が増えたときに上がるんだよね? ほかにも上がることはあるの?

あるよ。EPSは割り算だから、上がり方は2通りあるの。

EPSは「純利益 ÷ 株式数」なので、上がるパターンは「分子の利益が増える」か「分母の株式数が減る」かの2つです。
- 利益が増える:本業が強くなった、いちばん素直なパターン
- 自社株買いをする:利益が同じでも、利益を分ける株の数が減るのでEPSが上がる
一時的な利益でEPSが増えることもある
ひとつ気をつけたいのが、土地や持ち株を売るなどして一時的な利益(特別利益)が出た年です。この利益は本業とは関係のない一度きりのものなので、翌年にはなくなります。
- ふだんの年:純利益100億円 ÷ 1億株 = EPS100円
- 特別利益が50億円出た年:純利益150億円 ÷ 1億株 = EPS150円
その年だけEPSが大きくなり、PERが実力以上に低く(割安に)見えてしまうことがあります。
EPSが急に増えたときは、理由を確認するようにしています。

株式分割があった年は比べ方に注意
反対に、EPSが急に減って見えることもあります。
そのひとつが株式分割です。
株式分割は、1株を2株に分けるように、株の数を増やす手続きです。
- 分割前:純利益100億円 ÷ 1億株 = EPS100円
- 1株を2株に分割した後:純利益100億円 ÷ 2億株 = EPS50円
EPSは半分になりますが、持っている株の数も2倍になるので、株主の取り分は変わっていません。
業績が悪くなったわけではないので、分割があった年の前後でEPSを比べるときは注意が必要です。
③ 自社株買いでEPSが上がる仕組み

自社株買いをすると、利益が同じでもEPSが上がるんだよね? なんで上がるの?

自社株買いをすると株の数が減るから、EPSが上がるんだよ。

……ん? 会社が自分の株を買っても、株がなくなるわけじゃないよね? 株の総数は変わらないんじゃない?

鋭い! 今のわたしの言い方、ちょっと正確じゃなかったね。おうじ君の言うとおり、自社株買いをしただけでは、発行済株式数は減らないよ。

会社が買い戻した株は「自己株式(金庫株)」として、会社の手元に置いておけます。
必ずなくさなければいけない決まりはなく、あとで社員への株式報酬やM&Aに使う会社もあります。
それでもEPSが上がる理由
じゃあ、なぜ株数が変わらないのに自己株式にするとEPSが変わるのか?
それはEPSを計算するときに使う株の数は、発行済株式数から自己株式を除いた数だからです。
会社が持っている自分の株には配当も議決権もないので、利益を分ける相手として数えないんですね。
| 発行済株式数 | 計算に使う株式数 | EPS | |
|---|---|---|---|
| STEP1 自社株買い前 | 1億株 | 1億株 | 100円 |
| STEP2 1,000万株を買う | 1億株(変わらない) | 9,000万株 | 約111円 |
| STEP3 消却する | 9,000万株 | 9,000万株 | 約111円(変わらない) |
※純利益は100億円で変わらない前提の例です
自己株式を消却したら、EPSはもっと上がるの?

それが、上がらないの。上の表のSTEP3を見てみて。
自己株式は、買い戻した時点でEPSの計算からもう外れています。
消却は、その株を正式になくす手続きなので、計算に使う株の数は消却の前後で同じ。だからEPSも変わりません。

それでも消却が好材料とされる理由
EPSが変わらないなら、消却に意味はないのでしょうか?
金庫株のままだと、あとで売り出されたり株式報酬に使われたりして、市場に戻ってくるかもしれません。戻ってくれば利益を分ける株の数がまた増えるので、EPSは下がります。
消却すればその株はなくなるので、「将来EPSが下がるかもしれない」という心配がなくなります。今のEPSを上げるためではなく、将来の株主の取り分を守るための手続き、と考えるとわかりやすいです。
④ 株を買うときはEPSの「中身」を見る
本業の利益が増えればEPSも増えるから、株を買うときはEPSが増えている会社を選べばいいの?

基本はそうだけど、なんで増えたのかまで見ないと判断を間違えるよ。

ここまで整理してきたように、EPSが増える理由は1つではありません。
| EPSが増えた理由 | 株主にとっての意味 |
|---|---|
| 本業の利益が増えた | 会社の稼ぐ力そのものが伸びている。いちばん評価しやすい |
| 自社株買いなどで株数が減った | 1株あたりの取り分は本当に増えている。ただし本業が伸びたわけではない |
| 特別利益が出た | 一度きり。翌年にはEPSが元に戻る可能性が高い |
同じ「EPSが20%増えた」でも、本業の成長によるものと、一度きりの利益によるものでは、将来への期待がまったく違います。
PERと組み合わせて見る
PERの記事で整理したように、「株価 = PER × EPS」の関係があります。
PERが同じままでもEPSが伸びれば、株価は上がる計算です。
- EPS100円 × PER15倍 = 株価1,500円
- EPS120円 × PER15倍 = 株価1,800円
本業の成長でEPSが伸び続けている会社は、それだけで株価が上がる力を持っている、ということですね。
反対に、自社株買いや特別利益でEPSが増えただけなら、その伸びは長く続かないかもしれません。
⑤ まとめ:EPSを見るときのチェックリスト

株を買う前に確認したいポイントを4つにまとめるね。

- EPSは前の年より増えている?
- EPSの増加は本業の成長? それとも自社株買い?
- 特別利益で、その年だけ増えていない?
- 配当性向はどのくらい? 会社に残ったお金は何に使われている?
整理してみて、EPSは「株主が受け取るお金」ではなく、「1株あたりの利益に対する権利」なのだとわかりました。
そして、EPSの数字だけでなく、なぜその数字になったのかまで見ることで、PERもより正しく読めるようになると感じました。
PERとEPSがわかったから、次はPBRのことも知りたい!

じゃあ次回はPBRね。お楽しみに!

PERの使い方は、PERについてまとめた記事で整理しています。PBRの基本はPBR・PERの違いとは?に、純利益を使ったもうひとつの指標であるROEはROA・ROEの違いとは?にまとめています。
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※この記事は投資の勉強を目的としたもので、特定の銘柄の売買をすすめるものではありません。

