PERで割安・割高を判断する根拠とは?業種別の目安をやさしく解説
こんにちは、はるかです。
PERは、株が割安か割高かを判断するときに使われる代表的な指標です。
私も株を選ぶときは、「15倍なら割安、30倍なら割高」くらいの感覚でPERを見ていました。
でも、改めて考えてみると、わからないことが2つありました。
- PERは、何を根拠に割安・割高を表しているのか
- 実際に株を買うとき、PERをどう判断に役立てればいいのか
PERの数字だけを見て「低いから買い」と決めてしまうのは、根拠を知らないまま判断しているのと同じです。
そこで今回は、PERが割安・割高の目安になる根拠と、株を買うときの使い方を整理してみました。
PERそのものの基本はPBR・PERの違いとは?の記事でも解説しているので、あわせて読んでみてくださいね。

この記事でわかること
- PERの定義と、割安・割高の目安になる根拠
- 株価とPER・1株あたり利益の関係
- PERが低い=割安、とは限らない理由
- PERが動いたときの読み方と、業種ごとのPERの「ふつう」
- 株を買う前に確認したいPERのチェックリスト
この記事を書いている人
結婚を機に節約・資産運用をはじめて、3年間で+300万円を貯めることができました!
これまで資産運用や節約について勉強してきましたが、国の税金って複雑すぎる!と感じました
立派な肩書はないですが、主婦目線でわかりやすく資産運用や節約についてお話ししていきたいと思います。
PERとは:株価が1株あたり利益の何倍かを表す指標

PERは Price Earnings Ratio の略で、日本語では「株価収益率」といいます。
株価が、1株あたりの利益の何倍になっているかを表す指標です。
この「1株あたりの利益」のことを EPS(Earnings Per Share)といいます。
会社が1年間で稼いだ利益を株の数で割ったもので、「1株あたり、会社がいくら稼いだか」を表す数字です。
たとえば利益が100億円で株が1億株なら、EPSは100円になります。
EPSのくわしい意味や、EPSが増えたり減ったりする理由は、EPSについてまとめた記事で整理しています。
PER = 株価 ÷ EPS
例:株価が1,500円、EPSが100円なら、PERは 1,500円 ÷ 100円 = 15倍
PERが割安・割高の目安になる根拠
PERが15倍ということは、「株価が1株あたり利益の15年分」ということです。
言いかえると、今の利益がこのまま続くとしたら、15年分の利益で株価に追いつく計算になります。
同じ利益の会社なら、10年分で追いつく株(PER10倍)のほうが、30年分かかる株(PER30倍)より「利益に対して安く買える」ことになります。
これが、PERが低いと割安、高いと割高といわれる根拠です。
ただし、この考え方には「今の利益がこのまま続くとしたら」という前提があります。
利益がこれから伸びる会社なら、30倍でも実際はもっと早く追いつくかもしれませんし、利益が減っていく会社なら、10倍でも割安とはいえません。
この前提があるからこそ、PERだけでは判断しきれないんですね。
ここからは、この定義を補足する形で、次の4つを整理していきます。
- ① そもそも株価=PER×EPSなの?
- ② PERは期待だけで決まるわけではない
- ③ PERが変わるのはEPSだけじゃない
- ④ 業種によってPERの「ふつう」は全然違う
① そもそも株価=PER×EPSなの?

PERとEPSを掛けたら株価になるって本当?

計算のうえでは本当だよ。でも、ちょっと注意があるの。

PERは「株価 ÷ EPS」なので、式を変形すると「株価 = PER × EPS」になります。
株価 = PER × EPS
例:EPSが100円、PERが15倍なら、株価は 100円 × 15 = 1,500円
ただし、株価がPERとEPSで「決まる」わけではありません。
株価は市場での売り買いで先に決まって、PERはそこから逆算した結果です。
それでもこの式が役に立つのは、株価の動きを「EPS(会社が稼ぐ力)」と「PER(その稼ぐ力に市場がつけている値段の倍率)」の2つに分けて考えられるからです。
たとえば、EPSが100円から110円に増えた(10%の増益)のに、株価が1,500円から1,400円に下がったとします。
このときPERは15倍から約12.7倍に下がっています。
会社の稼ぐ力は伸びたのに、市場がつける倍率がそれ以上に下がった、つまり「増益でも、期待していたほどではなかった」と市場が受け止めた、と読めるわけです。
「市場の評価が下がった」というあいまいな話が、PERを使うと「倍率が15倍から12.7倍に下がった」という数字で確認できるんですね。
② PERは期待だけで決まるわけではない

同じくらい稼いでいる会社でも、PERが高い会社と低い会社があるよね。なんでそうなるの? 期待の差?

いちばん大きいのは期待の差。でも、期待だけじゃないんだよ。

定義のところで、PERには「今の利益がこのまま続くとしたら」という前提があると書きました。
実際の市場では、この前提をそのまま受け入れる人はいません。
「利益はもっと伸びそう」「来年は減りそう」といった見方が、PERの高い・低いに表れます。
PERが高いのは、市場が「この会社の利益はこれから伸びる」と見ているときです。
今の利益に比べて高い値段がついているのは、将来の利益の分まで先に織り込んでいるからなんですね。
成長企業のPERが高く、成熟した企業のPERが低くなりやすいのはこのためです(グロース株投資とバリュー株投資の違いも、ここにつながっています)。
ただ、PERには期待のほかにも、いろいろな要素が入っています。
- リスクの見方:同じ利益でも、来年どうなるかわからない会社には高い値段を払いにくいもの。業績がぶれやすい会社は、そのぶんPERが低くなりがちです。
- 金利:金利が上がると、預金や債券でもそれなりの利回りが得られるようになります。わざわざ株に高い値段を払う理由が弱まるので、株全体のPERが下がりやすくなります。
- 相場全体の雰囲気:強気相場では「多少高くても買いたい」という人が増え、個々の会社の中身とは関係なく、どの銘柄もPERが高くなりがちです。
- EPSの一時的なゆがみ:PERはEPSで割って出すので、利益が一時的に大きく落ちると、分母が小さくなってPERが極端に高く出ます。期待が高いわけではないので注意が必要です。反対に、土地を売るなどして一度きりの利益(特別利益)が出た年は、分母が大きくなってPERが実力以上に低く(割安に)見えます。
例を挙げるとこんな感じ
- ふだん:株価1,500円 ÷ EPS100円 = PER15倍
- 利益が一時的に落ちた年:株価1,500円 ÷ EPS30円 = PER50倍
- 特別利益が出た年:株価1,500円 ÷ EPS150円 = PER10倍

つまりPERは、「期待」だけでなく、リスクや金利、相場の空気まで含めて、市場がその会社の利益にどれだけの値段をつけているかを表す数字です。
いちばん大きな要素は成長への期待ですが、それがすべてではない、というのが整理してみての結論です。
株を買うときに大事なのは、ここから「PERが低い=割安、とは限らない」ということ。PERが低いのは、市場が「この会社はリスクが高い」「利益が続かなさそう」と見ているからかもしれません。
PERが低い銘柄を見つけたら、すぐに割安と判断せず、なぜ低いのかを確かめるようにしたいと思いました。
成長のスピードまで加味して割高・割安を見たいときは、PERを利益の成長率で割ったPEGレシオも参考になります。

③ PERが変わるのはEPSだけじゃない

EPSが変わらなくても、PERって変わるの?

変わるよ。PERは「株価÷EPS」だから、株価が動けばPERも動くの。

PERが変わる理由は、大きく「株価(分子)が動く」ものと、「EPS(分母)が変わる」ものに分けられます。
株価(分子)が動いてPERが変わる要因
- 成長への期待:新製品や新しい市場への進出で「この先もっと稼げそう」と思われると、買う人が増えて株価が上がります。
- 金利:②で書いたとおり、金利が上がると株全体のPERが下がりやすくなります。とくに成長株は、利益の多くが「何年も先」にあるぶん金利の影響を受けやすく、PERが大きく下がりがちです。
- リスクの見方:不祥事や規制の強化で「利益がぶれそう」と思われると、株価が下がります。
- お金の流れ:海外投資家の売買、指数への組み入れ、テーマ株ブームなど、業績とは関係なく大きなお金が動くと株価も動きます。
- 株主還元:増配や自社株買いの発表は「株主を大事にしている」と受け止められ、株価が上がりやすくなります。
EPS(分母)が変わってPERが変わる要因
株価が動かなくても、計算に使うEPSが変わればPERは変わります。
- 業績予想の修正:予想EPSが上方修正されると、分母が大きくなるので、株価が同じでもPERは下がります。
- 決算期の切り替わり:新しい期になると、計算に使う予想EPSが新しい期のものに替わります。株価が同じでも、PERがガラッと変わることがあります。
- 増資:新しく株を発行すると、利益を分ける株の数が増えてEPSが薄まり、PERは上がります。
証券アプリでよく表示されるのは、会社の業績予想(今期の見込み)を使った予想PERです。前期の確定した利益を使う実績PERとは、同じ銘柄でも数字が違います。
ほかの銘柄と比べるときは、予想同士・実績同士でそろえましょう。
ここまで整理して気づいたのは、「PERが上がった」というニュースだけでは、良い話なのか悪い話なのかわからない、ということです。
株価が上がってPERが上がったなら期待の高まり、EPSが下がってPERが上がったなら業績の悪化で、意味は正反対。
PERが動いたときは、分子と分母のどちらが動いたのかを確認するのが大事です。
④ 業種によってPERの「ふつう」は全然違う

PERって15倍が目安って聞いたけど、どの業種も同じなの?

ぜんぜん違うよ! 一覧で見てみよう。

東証プライムの33業種について、10年間の中央値(その業種の「ふつう」)と、2026年9月末の値を並べました。
| 業種 | 10年中央値 | 2026年9月末 |
|---|---|---|
| サービス業 | 32.1倍 | 41.3倍 |
| 小売業 | 28.1倍 | 27.7倍 |
| 医薬品 | 28.0倍 | 24.3倍 |
| 精密機器 | 26.9倍 | 31.4倍 |
| 電気機器 | 25.6倍 | 44.8倍 |
| その他製品 | 24.1倍 | 22.3倍 |
| 食料品 | 21.7倍 | 24.0倍 |
| 機械 | 20.4倍 | 25.4倍 |
| 化学 | 19.9倍 | 23.1倍 |
| ガラス・土石製品 | 19.7倍 | 18.6倍 |
| 情報・通信業 | 19.2倍 | 13.0倍 |
| 繊維製品 | 19.1倍 | 37.1倍 |
| 金属製品 | 18.4倍 | 21.1倍 |
| パルプ・紙 | 17.2倍 | 15.7倍 |
| 非鉄金属 | 16.6倍 | 24.7倍 |
| 陸運業 | 16.4倍 | 13.0倍 |
| 倉庫・運輸関連業 | 14.9倍 | 14.4倍 |
| 不動産業 | 14.6倍 | 13.2倍 |
| 水産・農林業 | 13.9倍 | 11.4倍 |
| 輸送用機器 | 12.4倍 | 16.3倍 |
| 証券、商品先物取引業 | 12.4倍 | 10.6倍 |
| その他金融業 | 12.4倍 | 14.8倍 |
| ゴム製品 | 12.3倍 | 13.8倍 |
| 保険業 | 12.3倍 | 12.9倍 |
| 建設業 | 11.8倍 | 12.0倍 |
| 卸売業 | 11.6倍 | 17.3倍 |
| 鉱業 | 11.2倍 | 11.6倍 |
| 銀行業 | 10.6倍 | 18.4倍 |
| 電気・ガス業 | 10.4倍 | 14.3倍 |
| 空運業 | 10.1倍 | 9.2倍 |
| 鉄鋼 | 8.6倍 | 21.4倍 |
| 石油・石炭製品 | 7.6倍 | 13.0倍 |
| 海運業 | 7.0倍 | 13.5倍 |
※出典:日本取引所グループ「規模別・業種別PER・PBR」をもとにした株グラフの集計(東証プライム・加重平均・実績PER・2026年9月末)。2022年3月以前は東証一部の数値。数値は毎月変わります。
10年中央値で見ると、ざっくり3つのグループに分かれる
こんなにたくさんあると、どこを見ればいいかわからないよ……。

10年中央値で3つのグループに分けると見やすいよ。
いちばん高い業種と低い業種では、4倍以上も差があるの。

| グループ | 主な業種 | PERの「ふつう」がこの水準になる理由 |
|---|---|---|
| 高め (20倍以上) | サービス、小売、医薬品、精密機器、電気機器、食料品、機械 | 新しいサービスや製品で利益を伸ばしやすい。ブランド力があり、景気が悪くても売上が落ちにくい |
| 中くらい (15〜20倍) | 化学、ガラス・土石、情報・通信、金属製品、非鉄金属、陸運 | 成長も安定性もそこそこ |
| 低め (15倍未満) | 銀行、電気・ガス、鉄鋼、海運、卸売、建設 | 景気で利益が大きく上下する(鉄鋼・海運など)。規制が多く成長がゆるやか(銀行・電気・ガスなど) |
高めのグループは「この先も安定して稼げそう」と見られるぶん、高い値段がつきやすいと考えられます。
反対に低めのグループは、「今の利益がずっと続くとは限らない」と見られやすいため、PERが低く落ち着きます。
今、気になる3つの業種
今の値が「ふつう」から大きく離れている業種もあるね。

そう、とくに気になるのが鉄鋼・電気機器・銀行の3つ。
でも、離れている理由はそれぞれ違うんだよ。

鉄鋼:PERが高い=人気、とは限らない
- ふだん(10年中央値):8.6倍
- 今(2026年9月末):21.4倍(約2.5倍)
鉄鋼株が急に人気になったというより、利益が落ちてEPSが小さくなった影響が大きいと考えられます。
景気で利益が上下しやすい業種は、利益が落ちた年にPERが跳ね上がりやすいからです。
③で整理した「EPSが下がってPERが上がる」の典型例です。
電気機器:期待がかなり高まっている
- ふだん(10年中央値):25.6倍
- 今(2026年9月末):44.8倍(過去10年でほぼ最高の水準)
成長への期待が大きく株価に織り込まれている状態です。期待どおりに利益が伸びないと、株価が大きく下がる可能性もあります。
電気機器:期待がかなり高まっている
- ふだん(10年中央値):10.6倍
- 今(2026年9月末):18.4倍(過去10年でほぼ最高の水準)
銀行は、貸し出しの金利と預金の金利の差(利ざや)で稼ぐビジネスです。
金利が上がると利ざやが広がりやすく、「これからは稼ぎやすくなる」と見られるようになったことが、PERの上昇に表れていると考えられます。
市場全体のPERは今どのくらい?
じゃあ、市場全体だと今は高いの?低いの?

プライム全体で20.6倍。過去10年の真ん中が17.4倍だから、今はちょっと高めだね。

| 東証プライム全体 | PER |
|---|---|
| 2026年9月末 | 20.6倍 |
| 過去10年の中央値 | 17.4倍 |
| 過去10年の範囲 | 13.1〜26.2倍 |
よく聞く「PER15倍が目安」は、市場全体をざっくり見たときの話です。
表のとおり、ふだんから30倍前後の業種もあれば、10倍を切る業種もあります。
⑤ まとめ:PERを見るときのチェックリスト

株を買う前に確認したいポイントを4つにまとめると
- 同じ業種の「ふつうのPER」(10年中央値)と比べた?
- 予想PERか実績PERか、そろえて比べた?
- PERが低い(高い)理由は、成長への期待?リスク?一時的な利益の増減?
- PERが動いた理由は、株価?それともEPS?
整理してみて、PERは「今の利益が続くとしたら、何年分で株価に追いつくか」を根拠にした指標で、その前提が崩れる理由まで確認してはじめて、割安・割高の判断に使えるのだとわかりました。
「なんで?」と思ったところを一つずつ確かめるのは、投資の勉強でもいちばん大事なことかもしれません。
PBRの基本はPBR・PERの違いとは?に、PBRと深い関係があるROEはROA・ROEの違いとは?にまとめています。ほかの投資用語をおさらいしたい方は株式投資で最低限覚えておくべき重要用語もどうぞ。
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※この記事は投資の勉強を目的としたもので、特定の銘柄の売買をすすめるものではありません。

